墓じまいとは?費用・必要書類・手続きの流れを6ステップで解説

「そろそろ、先祖代々のお墓をどうにかしないと」。頭の片隅でそう思いながら、何から手をつければいいのか分からず、そのままになっていませんか。

故郷が遠くてなかなかお参りに行けない。跡を継ぐ人がいない。ご先祖のお墓の管理料だけを、毎年払い続けている——。こうした事情を抱えて、墓じまいを検討しはじめた方も多いかと思います。

ところが、いざ調べてみると手続きの多さや費用の見当のつかなさに、かえって手が止まってしまう——そんなお話をよくうかがいます。

しかも墓じまいは、人生でそう何度も経験するものではありません。初めてのことばかりで、誰に何を聞けばいいのかも分からない。それが普通です。

この記事では、墓じまいとは何かという基本から、実際の手順や必要な書類、費用のおおよその目安、そしてお墓を片付けたあとの供養先までを、順を追って整理していきます。

墓じまいを進めるための参考として、ぜひ最後までご覧ください。

目次

墓じまいの流れ・費用・期間を早わかり

くわしい説明に入る前に、墓じまいでまず気になる「流れ・費用・期間」を、ざっとつかんでおきましょう。墓じまいは、大きく分けると次の3つで成り立っています。

お墓を片付ける
墓石を撤去し、更地に戻して管理者へ返す

ご遺骨の新しい行き先を決める
別のお墓や永代供養墓などへ移す=改葬(かいそう)

自治体や墓地管理者に必要な手続きを確認する
改葬許可などの書類仕事

やることは多そうに見えても、突き詰めればこの3つに集約されます。とはいえ、実際に気になるのは「何から始めるのか」「どれくらいの期間や費用がかかるのか」といった具体的なところでしょう。まずは、その答えをまとめて確認しておきましょう。

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知りたいこと先に押さえておきたい答え
墓じまいとはいまのお墓を撤去し、墓所を管理者に返すこと
まず何をする墓地の名義人と祭祀承継者を確かめ、親族に相談する
行政手続き現在のお墓がある自治体で改葬許可を得る(手続きは自治体で異なる)
期間の目安一般に2〜3か月、調整しだいで半年以上
費用の目安一般に50万~130万円前後。条件によっては300万円超
墓じまい後永代供養墓・樹木葬・納骨堂・一般墓などへ改葬

ここからは、表に挙げた項目を順番に詳しく見ていきます。まずは、手続き全体を理解するうえで混同しやすい「墓じまい」と「改葬」の違いから確認しましょう。

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墓じまいとは?改葬との違いと、増えている背景

まずは言葉の意味から、きちんと押さえておきましょう。ここを曖昧なままで進めると、あとで手続きの理解につまずきやすくなります。

墓じまいと改葬はどう違う?

墓じまいとは、いま建っているお墓を解体・撤去して更地に戻し、その使用権を墓地の管理者に返すことをいいます。文字通り、お墓を「片付ける」行為です。

これとよく一緒に出てくるのが「改葬(かいそう)」という言葉。指しているものが少し違います。

墓じまい=いまあるお墓を撤去し、墓所を管理者に返すこと
改葬=取り出したご遺骨を、別の墓地や納骨堂へ移して納め直すこと

墓じまいは「お墓を片付けること」、改葬は「ご遺骨を別の場所へ引っ越すこと」と考えると分かりやすいでしょう。多くの場合、この2つは続けて行うため、まとめて墓じまいと呼ばれます。

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ここで大事なのが、ご遺骨の扱いには決まりがあるという点です。

取り出したご遺骨を別の墓地や納骨堂へ移す場合は、原則として現在のお墓がある市区町村の改葬許可が必要になります。

ただし、散骨や手元供養は法律上の「改葬」とは扱いが異なるため、進め方は現在の墓地管理者と自治体へ事前に確認が必要です。

いずれにせよ、お墓を片付けたら、その後のご遺骨の行き先を必ず決めることになります。

墓じまいに含まれる作業の範囲

「墓じまい=墓石を撤去すること」と思っている方は少なくありません。でも、実際にはもっと幅があります。

親族への相談から始まり、新しい供養先を決め、墓地管理者や自治体で必要な書類をそろえ、必要に応じて閉眼供養などを行います。その後、ご遺骨を取り出して墓石を撤去し、墓所を返還して、最後に新しい場所へ納める。ここまでのひとつながりが、まるごと墓じまいに含まれます。

石材店に工事を頼めば終わり、という単純な話ではありません。人(家族・寺院)とのやりとり、役所での手続き、供養の段取りが絡み合っています。

とはいえ、この全体像さえ分かっていれば、あとは順番に進めていくだけです。決して難しいことではありません。

なぜ今、墓じまいが増えているのか

「うちだけが特別な事情なのでは」と感じている方もいるかもしれません。でも、決してそうではありません。

厚生労働省の「衛生行政報告例」によると、2024年度の改葬件数は全国で176,105件。2014年度の83,574件と比べると、10年間で約2.1倍に増えており、長期的に見て増加傾向が続いています。

改葬件数は墓じまいの件数と完全に一致するものではありませんが、お墓の承継や管理を見直す動きが広がっていることを示す指標の一つといえます。墓じまいは、いまや多くの家庭が向き合う、ごく身近な課題になっています。

背景にあるのは、暮らしの変化です。

かつての日本のお墓は「◯◯家之墓」として、長男が家督とともに受け継ぐことを前提にしてきました。ところが少子高齢化や核家族化が進み、そもそも継ぐ人がいない、いても遠方で任せづらい、という家庭が当たり前になっています。

地方の過疎化も拍車をかけました。実家を離れて都市部で暮らす子世代にとって、故郷のお墓は物理的にも遠い存在になりがちです。

加えて、お墓に対する価値観そのものも多様になりました。

夫婦だけのお墓、一人用のお墓、承継を前提としないお墓——。「代々受け継ぐもの」という縛りがゆるみ、「子や孫に負担を残したくない」「自分の代でけじめをつけたい」という考え方が広がっています。

荒れ果てた無縁墓が社会問題として取り上げられるようになったことも、「元気なうちに手を打っておこう」という動きを後押ししています。

墓じまいは、時代や家族のかたちの変化に合わせて供養の形を選び直す、いまを生きる私たちの自然な選択肢になりつつあります。

墓じまいが珍しい選択ではなくなっているとはいえ、思い立った人がすぐに手続きを始められるとは限りません。

実際に動き出す前に、まずは誰が決める立場にあるのか、お墓について何を確認しておくべきかを整理しましょう。

墓じまいは誰が進める?始める前に確認したいこと

墓じまいは、現在の墓地使用者(名義人)や祭祀承継者が中心となって進めます。両者が異なる場合や、名義人が亡くなっている場合は、墓地管理者へ承継手続きや必要な承諾書を確認してください。

動き出す前に、墓地の名義人と祭祀承継者が誰かをはっきりさせ、お墓の場所・管理者・納められたご遺骨の数を確かめておきましょう。

いきなり石材店を探したり、役所に駆け込んだりする前に、この下準備をしておくだけで、後の手間が大きく変わります。

ここを飛ばすと、途中で「そもそも自分が決めていいのか」「書類が足りない」と、手続きが止まってしまいがちです。

墓じまいを進める人を確認する

意外と見落とされがちなのが、「誰が中心となって墓じまいを進めるのか」という点です。

お墓や仏壇など、祖先の供養に関わるものは、預貯金や不動産などの相続財産とは別に扱われます。こうした祭祀に関する権利を引き継ぎ、法事や供養を中心となって行う人を、祭祀承継者(さいししょうけいしゃ)と呼びます。

多くの場合、墓地の使用権を引き継いだ方や、これまで法事・供養を中心となって行ってきた方が祭祀承継者にあたります。遺言で指定されている場合や、話し合いで決まらない場合に家庭裁判所が定める場合もあります。

ただし、祭祀承継者と墓地の使用者(名義人)が、必ずしも同じ人とは限りません。墓じまいは、祭祀承継者や現在の墓地使用者が中心となって進めますが、両者が異なる場合や、名義人がすでに亡くなっている場合は、名義変更や承継手続き、承諾書などが必要になることがあります。

自分が祭祀承継者であっても、墓地の名義が別の方になっている場合は、先に墓地管理者へ相談してください。反対に、祭祀承継者や墓地使用者が自分以外にいる場合は、その方の了解を得たうえで進めることが大切です。

「自分が手続きを進めてもよいのか分からない」という場合は、墓地の名義と祭祀承継者を確認し、墓地管理者へ必要な手続きを尋ねましょう。名義や立場が曖昧なまま進めると、途中で手続きが止まったり、親族間のトラブルにつながったりする可能性があります。

事前に押さえたい4つのチェックポイント

決める立場が確認できたら、次の4つを手元で整理しておきます。どれも当たり前に思えて、いざ書き出すと「あれ、どうだったかな」となりやすい項目です。

  • お墓がどこにあるか
    正確な所在地。遠方の実家近くなど、記憶があいまいなことも
  • 誰が管理しているか
    寺院なのか、民間霊園なのか、自治体なのか、あるいは地域の共同墓地の管理組合なのか
  • 使用権は誰の名義か、管理料は誰が払っているか
    名義人がすでに亡くなっている場合は、承継の手続きが先に必要になることも
  • 中にどなたのご遺骨が何体納められているか

とくに最後の「ご遺骨が何体納められているか」は、あとで書類の準備にも費用にも直結する大事な情報です。

移すご遺骨の数によって改葬許可の申請方法や枚数が変わることがあり、数を取り違えると手続きをやり直すことにもなりかねません。

実際、記録と中身が食い違っていた、誰のものか分からないご遺骨が出てきた、というのは決して珍しい話ではありません。過去帳やお寺の埋葬記録を確認したり、管理者に問い合わせたりして、分かる範囲で先にたどっておくと安心です。

これらを確かめたら、決めた内容を簡単な覚書にまとめておきましょう。あとで親族に説明するときにも、役所で書類を書くときにも、必ず役に立ちます。

墓じまいだけが答えとは限らない

もうひとつ、動き出す前に頭の隅に置いておきたいことがあります。それは、悩みの中身によっては、墓じまい以外の道もあるということです。

たとえば「継ぐ人がいない」のが不安の中心なら、親族の誰かに名義を引き継いでもらう、という選択肢もあります。「遠くて通えない」という理由なら、お墓参りや清掃の代行サービスを利用する方法もあります。

また、ご遺骨の一部を近くの供養先へ分骨し、現在のお墓も残すという選択肢もあります。管理の負担が重いだけなら、いまのお墓を永代供養に切り替えられないか、管理者に相談する方法もあります。

墓じまいは、いったん行えば元には戻せません。だからこそ、「本当に片付けてしまうのが自分たちにとって最善か」を一度立ち止まって考えてみることが大切です。それでも墓じまいが必要だと納得できたら、具体的な手続きへ進みましょう。

墓じまいの主な相談先

墓じまいは、相談する相手が場面ごとに変わります。誰に何を聞けばいいのか、先に整理しておきましょう。

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相談先確認・相談する内容
現在の墓地管理者墓所返還、埋蔵・収蔵の証明、指定石材店、閉眼供養
現在のお墓がある自治体改葬許可申請、必要書類、複数遺骨の申請方法
新しい供養先受入条件、納骨方法、管理料、将来の合祀
石材店墓石撤去、整地、遺骨の取り出し、適正処分
菩提寺・僧侶離檀、閉眼供養、法要
弁護士など高額請求、親族・寺院・業者とのトラブル

大阪メモリアルパークでは、墓じまい後の改葬先や供養方法についてもご相談いただけます。現在のお墓が遠方にある場合や、承継者のいらない供養先を探している場合も、お気軽にご連絡ください。

墓じまいの流れと必要書類【6ステップ】

家族にとって墓じまいが必要だと判断できたら、次は具体的な手続きに移ります。

書類の取り直しや関係者との行き違いを防ぐためにも、全体の順番を確認してから進めましょう。

墓じまいは、

  1. 家族・親族への相談
  2. お墓の管理者への連絡
  3. 新しい供養先の決定
  4. 改葬許可の申請
  5. ご遺骨の取り出しと墓石の撤去(必要に応じて閉眼供養)
  6. 新しい供養先への納骨

という順で進みます。

役所での手続きより先に、まず親族と現在の墓地管理者へ相談するのが肝心です。

なお、②の墓地管理者への相談と、③の新しい供養先探しは、状況に応じて前後したり並行して進めたりすることもあります。

現在のお墓を撤去する日程を決める前に、改葬先と必要書類を確定させておくことが大切です。

それでは、ひとつずつ見ていきましょう。

STEP

家族・親族に相談し、意向を確認する

いちばん最初にすべきなのは、業者選びでも役所でもなく、家族や親族との話し合いです。

お墓は、あなた一人のものではなく、親族みんなが手を合わせてきた場所でもあります。「相談もなく決められた」「ご先祖をないがしろにされた気がする」——こうしたすれ違いは、後々まで尾を引く、親族間トラブルの大きな原因の一つです。

必要な名義や承諾が整っていて、手続きを進められる立場であっても、それと親族の気持ちは別の話。感情のもつれは、書類では解決できません。

伝えたいのは、おもに次の3つです。

なぜ墓じまいを考えたのか。ご遺骨をこの先どうしたいのか。そして、費用や手間をどう分担するのか。自分の言葉で、順を追って丁寧に話しましょう。

とくに、普段行き来のない親族ほど、いきなり結論だけを聞かされると身構えてしまうもの。電話や手紙で、一人ずつ事情を伝えておく手間を惜しまないことが、結局いちばんの近道になります。

もし反対する声が出たら、無理に押し切らないこと。「墓じまいをしても供養は続けられる」「こういう形で手を合わせられる」と、代わりの姿を具体的に示すと、気持ちがほどけていくことがあります。

話がまとまったら、決めた内容を覚書に残しておくと、後の「言った・言わない」を防げます。

STEP

お墓の管理者に伝え、遺骨が納められている証明を受ける

家族・親族との話し合いができたら、現在の墓地管理者に墓じまいの意向を伝えます。

管理者は、お墓のある場所によって異なります。寺院墓地ならご住職、公営・民間の霊園なら管理事務所、地域の共同墓地なら管理組合や当番の方などです。誰が管理者か分からない場合は、墓地がある自治体へ確認してみましょう。

改葬許可を申請する際は、現在のお墓にご遺骨が納められていることを、墓地管理者に証明してもらいます。法令や自治体の案内では、この確認を「埋蔵・収蔵の証明」と呼びます。

自治体によっては、「埋葬証明書」「埋蔵証明書」などの書類を発行してもらうほか、改葬許可申請書の証明欄に墓地管理者が記入する形式もあります。書類名や形式は自治体によって異なるため、現在のお墓がある市区町村へ事前に確認してください。発行手数料がかかる場合は、無料から1,000円程度が目安です。

気をつけたいのが、長くお世話になってきた寺院が管理者の場合の伝え方です。事務的に「墓じまいをします」と結論だけを伝えるのではなく、これまでの感謝と、墓じまいを考えるに至った事情を丁寧に説明しましょう。突然の申し出は行き違いを生むこともあるため、できるだけ早めに相談することが大切です。

STEP

新しい供養先を決め、必要書類を確認する

お墓を片付けたあと、ご遺骨をどこで供養するか。これが決まっていないと、役所の手続きも撤去工事も前に進みません。

別の墓地や納骨堂へ改葬する場合は、先に新しい供養先を決めます。改葬許可申請書には改葬先を記載し、自治体によっては受入証明書や墓地使用許可証などの提出を求められます。必要書類は、現在のお墓がある市区町村へ確認してください。

一方、散骨や自宅での手元供養を選ぶ場合は、法律上の改葬とは扱いが異なります。現在の墓地管理者と自治体へ、必要な手続きを確認してください。

改葬先には、一般墓・樹木葬・納骨堂・永代供養墓などがあります。費用も供養の続き方も大きく変わりますが、まずは「行き先を先に決めておかないと手続きが進まない」という順番だけ、押さえておけば大丈夫です。

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STEP

改葬許可を申請する(必要書類まとめ)

ここは、行政手続きのなかでも特に大切なところです。いま墓地のある市区町村の役所に改葬許可申請書を提出し、改葬許可証を発行してもらいます。

改葬許可申請書には、故人の氏名や死亡年月日、現在ご遺骨が納められている場所、改葬の理由、移し先などを記入します。

申請時には、現在の墓地管理者による埋蔵・収蔵の証明などを添付します。自治体によっては、改葬先の受入証明書や墓地使用許可証などの提出を求められる場合もあります。

整理すると、改葬手続きで登場する主な書類は、次の4つです。ただし、書類名や様式、添付書類は自治体によって異なります。

受入証明書が独立して必要か、使用許可証などで代えられるか、墓地の使用者と申請者が違う場合に承諾書がいるか、といった点も自治体次第です。現在のお墓がある市区町村の案内を、必ず確認してください。

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書類どんな書類かもらう先費用の目安
埋蔵・収蔵等の証明現在のお墓に遺骨が納まっている証明(埋葬・埋蔵証明書等)今のお墓の管理者無料〜1,000円ほど
受入証明書・墓地使用許可証等自治体によって提出を求められる、新しい供養先の受け入れを示す書類改葬先の管理者無料〜1,500円ほど
改葬許可申請書改葬許可を得るための申請用紙今の墓地がある自治体無料
改葬許可証ご遺骨を別の墓地・納骨堂へ改葬するための許可証今の墓地がある自治体無料〜1,500円ほど

申請書は役所の窓口でもらえるほか、自治体のホームページからダウンロードできることもあります。記入項目や必要書類は自治体ごとに少しずつ違うので、実物を見て確かめておくと安心です。

見落としやすいのが、複数のご遺骨を移すときの申請方法です。1体ごとに申請書が必要な自治体もあれば、1通の申請書や別紙に複数名を記載できる自治体もあり、扱いは一律ではありません。

いずれにせよ、何体分を移すのかで手続きが変わるので、事前に「何体入っているか」を確認しておくと安心です。交付まで数日かかる自治体もあるため、日程には余裕をもたせておきましょう。

なお、散骨や自宅での手元供養は、ご遺骨を別の墓地や納骨堂へ移す法律上の「改葬」にあたらないため、改葬許可証が交付されない扱いになる場合があります。

ただし、現在のお墓からご遺骨を取り出す際の手続きは自治体や墓地管理者によって異なるので、事前に双方へ確認しておきましょう。

改葬の手続きは、全国どこでも共通の部分と、自治体や墓地によって変わる部分が混ざっています。混同しないよう、整理しておきます。

全国共通の基本

  • 改葬には、現在の墓地がある市区町村の許可(改葬許可)が必要
  • 現在の墓地管理者による、埋蔵・収蔵の証明が基本になる
  • 交付された改葬許可証は、新しい墓地や納骨堂の管理者へ提出する

自治体・墓地によって異なるもの

  • 受入証明書が独立して必要か、使用許可証などで代えられるか
  • 複数のご遺骨を1通でまとめて申請できるか、1体ごとか
  • 手数料の額、郵送申請の可否
  • 墓地の使用者と申請者が違う場合の承諾書・委任状の要否
  • 散骨・手元供養のためにご遺骨を取り出す際の手続き

「一般的にはこう」という情報を鵜呑みにせず、最後は必ず、現在のお墓がある市区町村と管理者に確認してください。

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必要に応じて閉眼供養を行い、遺骨を取り出して墓石を撤去する

改葬許可証が手元に届いたら、いよいよお墓を片付ける段階に入ります。

なお、石材店への見積もり依頼や工事日の相談は、改葬許可の申請と並行して進めることもできます。ただし、ご遺骨の取り出しや新しい供養先への移動は、必要な許可を得てから行いましょう。

その前に行うことが多いのが閉眼供養(へいがんくよう)です。

仏式では、墓石に対する供養の区切りとして、僧侶に読経を依頼する閉眼供養を行うことがあります。「魂抜き」「お性根抜き」などと呼ばれることもありますが、名称や考え方は宗派・地域によって異なります。

法律上の義務ではありませんが、墓地の規則で儀式や事前の確認が求められる場合があるため、管理者に確かめておくと安心です。

個別に僧侶へ読経を依頼する場合はお布施が必要になります。金額は寺院や法要の内容によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

閉眼供養を終えたら、ご遺骨を取り出し、墓石の解体・撤去に進みます。

この作業は専門技術がいるため、石材店に依頼するのが通例です。墓石や基礎を撤去し、墓地の使用規則と管理者の指示に沿って墓所を原状回復します。墓所返還届などの必要な手続きを終えると、墓所の返還が完了します。

ここで気をつけたいのが、石材店選びです。寺院や霊園によっては、工事を頼める石材店があらかじめ指定されていることがあるので、まず管理者に確認を。

指定がなければ、複数の業者から相見積もりを取り、作業内容と金額をならべて比べるのが安心です。同じお墓でも、業者によって数十万円の差が出ることがあります。

反対に、相場からかけ離れて安い業者には注意が必要です。撤去した墓石や基礎材は、法令に沿って適正に処理する必要があります。適正に処分されるか、見積書や契約書で処分方法まで確認しておきましょう。

もう一点。長く土に触れていたご遺骨は、傷んでいたり汚れていたりして、洗ってきれいにする「洗骨」が必要になる場合があります(費用は業者や状態によって異なります)。

古いお墓に土葬されたご遺体・ご遺骨があるケースでは、再火葬が必要になることも。手続きや受け入れの条件、費用は自治体や火葬場によって変わるため、墓地管理者と自治体へ早めに相談しておくと安心です。

こうした追加の作業が出そうなときは、石材店にも早めに伝えておくと、当日になって段取りが崩れる心配がありません。

STEP

新しい供養先に納骨する

最後に、取り出したご遺骨を新しい供養先へ納めます。

新しく墓石を建てた場合は、納骨にあわせて開眼供養(かいげんくよう)を行うことがあります。一方、樹木葬・納骨堂・永代供養墓などでは、施設が定めた納骨法要や合同供養を行うこともあり、儀式の内容は供養先によって異なります。

個別に僧侶へ読経を依頼する場合はお布施が必要になります。金額は寺院や法要の内容によって変わるため、事前に確認してください。

納骨の際は、改葬先の管理者へ改葬許可証を提出します。原本が必要になることが多いため、提出前に控えを取っておくと安心です。

納め方は供養先によって異なり、一般墓の納骨室へ骨壺を納める方法のほか、樹木葬では骨壺や専用容器、さらし袋などを使うこともあります。合祀墓では、ほかの方のご遺骨と一緒に納められます。

ここまで来れば、墓じまいはひと区切り。長らく気にかかっていたことに、ようやく肩の荷を下ろせます。

墓じまいにかかる期間とスケジュールの目安

全体を通してどれくらいかかるのか、見通しを持っておくと動きやすくなります。

順調に進んでおよそ2〜3か月、寺院との相談や書類集め、工事の日程調整に時間がかかると半年ほど、というのが一つの目安です。

意外と時間を要するのは、親族や寺院との話し合い、役所での書類のやりとり、そして石材店の工事の空き待ち。とくに改葬許可証は交付まで数日かかることがあり、書類は「そろえて、出して、受け取る」だけで、想定より数週間長引くこともあります。

もし納骨法要の日取りが先に決まっているなら、そこから逆算して動くのが賢いやり方です。

工事や供養の手配には余裕がほしいので、法要のおよそ3か月前には動き出しておくと安心。お盆やお彼岸、年末年始は寺院も石材店も混み合うため、その時期を避けて計画すると、待ち時間を減らせます。

必要な期間の見通しが立ったら、あわせて予算も整理しておきましょう。墓じまいでは、現在のお墓を片付ける費用と、新しい供養先に納める費用の両方がかかります。

墓じまいにかかる費用の目安

総額は、一般的に50万~130万円前後が一つの目安とされていますが、墓石の大きさや立地、新しい供養先によって大きく変わり、300万円を超える場合もあります。

まずは、費用の全体像をつかんでおきましょう。

費用が変わる4つの条件

墓じまいの費用には「全国一律いくら」という決まりがありません。一般的な目安は50万~130万円前後ですが、条件によって金額には大きな幅があります。おもに次の4つの条件によって総額が変わります。

  • お墓の広さと立地
    区画が広い、山間部や高台で重機が入りにくいと、撤去費が上がる
  • 寺院との関係
    寺院墓地なら離檀料が発生することがある
  • ご遺骨の数
    数が多いほど書類も作業も増える
  • 新しい供養先の種類
    一般墓か永代供養墓かで、金額の桁が変わる

自分がどの条件に当てはまるかを見ておくと、概算のイメージがつかめます。

現在のお墓を片付けるためにかかる費用

いまあるお墓を片付ける際は、墓石の解体・撤去費用のほか、閉眼供養を行う場合のお布施、寺院墓地から離檀する場合の費用、書類の発行手数料などがかかります。

墓石の解体・撤去費用は1㎡あたり10万〜15万円ほどが目安ですが、お墓の広さや立地、墓石の大きさによって変わります。山間部や高台など、重機が入りにくい場所では人件費がかさみ、費用が高くなることもあります。

あわせて確認しておきたいのが、墓地を契約した際に支払った永代使用料の扱いです。永代使用料とは、墓地の土地を購入する代金ではなく、墓所を使用する権利を得るために支払う費用をいいます。

墓じまいによって墓所を返還しても、支払い済みの永代使用料は返還されない規則になっている墓地が多くあります。ただし、返還の有無や条件は墓地ごとに異なるため、墓地の使用規則を確認するか、管理者へ問い合わせておきましょう。

新しい供養先にかかる費用

もう一方の、ご遺骨の受け入れ先にかかる費用は、選ぶ供養方法次第で大きく開きます。

墓石を建てる一般墓は高くなりやすく、合祀墓や散骨は抑えやすい傾向があり、金額の桁がここで変わるため、供養先選びは費用計画の要になります。

費用の負担を軽くする方法

まとまった出費になるからこそ、抑えられるところは抑えたいもの。石材店は相見積もりで比べる、供養先は無理のない範囲で選ぶ。こうした一つひとつの工夫の積み重ねで、負担はずいぶん軽くなります。

一部の自治体や公営墓地では、墓石撤去や墓所返還に関する助成制度を設けている場合があります。現在のお墓がある自治体と墓地管理者へ確認してください。

一度に払うのが難しいときは、お墓の費用に特化したローン(メモリアルローン)で分割にするという手段もあります。

項目ごとの詳しい費用相場や、払えないときの対処法は、こちらでご確認いただけます。

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墓じまいの総額を大きく左右するのは、現在のお墓の撤去費だけではありません。ご遺骨をどこへ移すかによって、必要な費用だけでなく、その後のお参りや管理のあり方も変わります。

続いて、墓じまい後の供養方法を比べていきましょう。

墓じまい後の遺骨の行き先・供養方法の選び方

墓じまい後の選択肢には、一般墓・納骨堂・樹木葬・永代供養墓への改葬のほか、散骨や手元供養があります。

散骨や手元供養は法律上の改葬とは扱いが異なるため、現在のお墓からご遺骨を取り出す前に、墓地管理者と自治体へ確認しておきましょう。

承継者がいない場合は、永代供養墓や、永代供養付き・非承継型の樹木葬が有力な候補になります。樹木葬という名称だけで判断せず、承継の要否、管理料、将来の合祀の有無を確認しておくと安心です。

墓じまいは、お墓を「なくす」ことではなく、供養の形を「変える」こと。だからこそ、ご遺骨の新しい行き先選びは、いちばん心を込めたいところです。

ここを費用の安さだけで決めてしまうと、後悔につながりやすいので、じっくりいきましょう。

供養先の主な種類と特徴

まずは選択肢を広く知っておくと、比べる土台ができます。代表的なものを、向き・不向きとあわせて見ていきます。

一般墓は、従来どおり墓石を建てる、いちばんなじみ深いお墓。個別に手を合わせられ、家族や親族のご遺骨をまとめて納められる安心感があります。ただ、墓石の建立費がかかるぶん費用は高め(100万〜300万円ほど)で、将来また継ぐ人の問題も残ります。引っ越し先でも今までどおりお参りを続けたい、という方に合った形でしょう。

納骨堂は、屋内にご遺骨を安置する施設です。ロッカー型、仏壇型、カードで骨壺が運ばれてくる自動搬送型などがあり、天候に左右されず、駅近で通いやすい立地が多いのも魅力。費用は形式や立地により、数十万円から100万円を超えるものまで幅があります。こまめにお墓の手入れをする時間がない方や、都市部で気軽にお参りしたい方に選ばれています。

樹木葬では、墓石の代わりに樹木や草花をシンボルにして、その根元にご遺骨を納めます。自然に還るイメージと、比較的抑えやすい費用(20万〜80万円ほど)から、近年ぐんと人気が高まりました。一度納めると取り出せない形式や、一定期間後に合祀される形式もある点は、先に知っておきたいところ。承継型・非承継型や管理料の有無も種類によって違うので、自然に囲まれて眠りたい方や承継の心配を減らしたい方は、契約前に条件を確かめておくと安心です。

永代供養墓(個別安置・合祀)は、霊園や寺院が家族に代わって供養・管理するお墓です。最初からほかの方と一緒に納める合祀型のほか、一定期間は個別に安置してその後に合祀するタイプ、永久に個別安置するタイプもあります。後継ぎがいなくても申し込めるのが強みで、合祀型なら費用は5万〜30万円ほどまで抑えられます。ただし合祀は、一度納めると個別に取り出すことができません。承継者がいない方や、子や孫に負担を残したくない方の、心強い受け皿になります。

散骨は、ご遺骨を細かく粉状にして、海や山などにまく方法。お墓を持たないぶん維持の手間がなく、自然に還りたいという願いにも沿います。反面、ご遺骨が手元に残らず、あとから戻すこともできません。海洋散骨では船のチャーター代などで費用がふくらむこともあるため、そこは見込んでおきたいところ。維持の負担をなくしたい方や、故人の遺志がはっきりしている場合に選ばれています。

手元供養は、ご遺骨の一部を小さな骨壺やペンダントに納め、自宅で身近に置いておく方法です。いつでも故人を感じられる一方、供養する方に万一のことがあると、その後の行き先を家族が改めて考えることになります。ほかの供養方法と組み合わせて、一部だけを手元に、という選び方をされる方も多いようです。

どれが正解、ということはありません。それぞれに良い面と、覚えておくべき制約があります。

供養先を選ぶときの3つの視点

種類が分かったら、次は自分の家族に合うものをどう絞り込むか。迷ったときは、この3つの物差しで見てみてください。

ひとつめは通いやすさ。どんなに設備が立派でも、遠くて足が遠のいてしまっては本末転倒です。自宅から無理なく通える場所かどうかは、長い目で見たときの満足度を大きく左右します。

ふたつめは費用の無理のなさ。初期費用だけでなく、その後に管理料がかかるのか、追加費用は発生しないのか。料金体系まで確かめておくと、予想外の出費を防げます。

みっつめは供養の続き方。永代供養がついているか、いつか合祀に移るのか、そのタイミングはいつか。一度納めたら取り出せるのか。このあたりは施設によって大きく違うので、契約前に必ず確認しておきたいところです。

大阪メモリアルパークでの受け入れ方

私たち大阪メモリアルパークでも、墓じまいをされた方の改葬先を数多くお引き受けしてきました。

まずは、当霊園でのおもな選択肢を、ひと目で比べられるようにまとめました。

スクロールできます
選択肢遺骨の納め方価格の目安向いている方
樹木葬 ダイアナ・アイビー
(送骨可)
個別のまま永代安置(合祀なし)1名30万円〜遠方から送骨したい/ずっと個別で残したい方
樹木葬 ジュリア最後の方の安置から13年後に合祀フローラタイプ・2〜6名90万円〜お墓は不要でも、当面は個別に弔いたい方
古墳墓 後円部個別のまま永代安置(合祀なし)1名70万円〜個別のまま残したい方
古墳墓 前方部
(お墓じまいアシストプラン)
合祀1名30万円/2名目以降10万円費用を抑え、承継不要にしたい方

それぞれの特徴を、もう少しくわしく見ていきます。

現在のお墓が遠方にあり、何度も足を運べない方には、送骨サービスをご用意しています。必要書類の提出とお申し込みを済ませたうえで、ご遺骨をゆうパックで送付し、納骨への立ち会いなしで手続きを完了できる仕組みです。

遠方にお住まいの方も、
来園せずに納骨まで進められます。

納め先は、合祀されず個別のまま永代にわたって安置する樹木葬「ダイアナ・アイビー」で、お一人30万円〜。年間管理料やプレート代、永代供養料は不要で、年3回の供養祭(8月15日・春秋のお彼岸)で読経のうえお納めします。手続きや納骨先選びを一人で抱えるのが不安な方の、心強い支えになるはずです。

樹木葬「ふれあいの杜 天空」
ダイアナ・アイビー

しっかり手を合わせる場所がほしい方には、樹木葬という選び方もあります。

「ふれあいの杜 天空」には、承継者を必要としない非承継型の樹木葬と、ご家族で受け継いでいく承継型の樹木葬があります。非承継型は永代供養付きのため、承継者がいない方でも安心して選べます。

一方、承継型では、毎年管理料を支払う方法に加えて、将来分の管理料をまとめて納める「永代管理料」も選択できます。子や孫に管理料の負担を残したくない方にも、検討しやすい仕組みです。

ご家族の承継状況に合わせて選べる、
永代供養付きの樹木葬です。

そしてもう一つ、古墳墓「竹田式前方後円墳」という選び方もあります。前方後円墳を現代によみがえらせた永代供養墓で、継承は不要、宗旨宗派を問わずお選びいただけます。

他所のお墓を整理してこちらへ移される方向けには、改葬許可証の提出を前提とした「お墓じまいアシストプラン」(前方部・合同永眠埋葬タイプ、1名30万円/2名様以降10万円)も用意しています。

古墳墓「竹田式前方後円墳」

古墳型の永代供養墓という、もう一つの選び方。

当霊園を選ばれた方からは、こんな声をいただいています。

70代女性

墓地を決める際に、何カ所か他社も見学しました。こちらを訪れた際の印象がとても良く、眺望の良さはもちろん、いつこちらを訪れても綺麗に整備され、四季折々の花々に囲まれた墓地は大切に管理されているなと感じました。

40代男性

霊園全体(トイレや休憩所など)がいつもキレイで清潔に保たれているのが心地良いです。スタッフの方々の笑顔の挨拶も嬉しい。樹木やお花いっぱいの中でお墓参りしていると、自然型の公園にいるような気持ちになれるのもステキです。

供養の仕組みそのものをもう少し知っておきたいときは、こちらもどうぞ。

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改葬先の候補が見えてきても、親族との話し合いや寺院への伝え方、撤去工事の進め方次第では、思わぬ行き違いが生じることがあります。

納得のいく墓じまいにするために、次は起こりやすいトラブルと、その防ぎ方を確認しておきましょう。

墓じまいでよくあるトラブルと防ぎ方

墓じまいで起きやすいトラブルは、親族との合意不足、寺院への離檀料、費用の負担、遺骨の数の相違、石材店選びの5つです。

関係者への早めの相談、埋葬記録や必要書類の確認、石材店の見積もり比較によって、多くの行き違いを防げます。段取りよく進めたつもりでも、思わぬところでつまずくもの。ひとつずつ、防ぎ方とあわせて押さえておきましょう。

親族との合意にまつわるトラブル

特に注意したいのが、親族との合意不足です。よかれと思って一人で進めたら、「お墓がなくなっている」とあとから親族が驚いた、というケースもあります。

親族への相談がないまま進めると、後からトラブルになりがちです。必要な名義や承諾が整い、手続きを進められる立場であっても、親族の気持ちはまた別。相談なく決めたことが、長く尾を引くしこりになる場合があります。

防ぐ手立てはシンプルで、面倒でも一人ずつ事情を伝えておくこと。電話ができる方には電話で、普段行き来のない方には手紙で。「継いでくれる人がいれば引き継ぎたい、難しければ墓じまいを考えている」と正直に伝え、同意を得てから動く。この順番を守るだけで、多くの行き違いは避けられます。

寺院との離檀トラブル・高額な離檀料

寺院墓地の墓じまいでは、檀家をやめる際に離檀料をお渡しするのが慣習です。ところが、金額の考え方の違いから、高額な離檀料をめぐって寺院との話し合いが難航する場合があります。

覚えておきたいのは、離檀料について、法律で一律の金額や支払い義務が定められているわけではない、ということ。あくまで、これまでの感謝の気持ちとしてお渡しするものです。

ただし、寺院との合意内容や寺院の規則、未納の管理料などが別途問題になることもあります。金額に違和感があれば、「その額に決まりや前例があるのか」を落ち着いて確認しましょう。

それでも折り合わないときや、判断に迷うときは、弁護士など第三者に間に入ってもらう方法もあります。感謝を丁寧に伝えたうえで、常識的な範囲でまとまった例はたくさんあります。

費用の負担をめぐるトラブル

墓じまいは金額がまとまるだけに、「誰が払うのか」はデリケートな問題です。慣習では祭祀承継者が負担する立場とされますが、数十万円から百万円を超えることもある出費を一人で背負うのは、現実的にも心情的にも重いもの。

「長男が全部」と決めつけず、兄弟姉妹や近しい親族で、それぞれ無理のない範囲を出し合う。そんな形にすると、金銭面でも気持ちの面でも負担が分散され、わだかまりが残りにくくなります。

誰がどれだけ負担するかを、着工前に話し合って決めておく。ここでも、事前の合意がものを言います。

遺骨の数や身元が想定と違うケース

いざお墓を開けてみたら、聞いていた数とご遺骨の数が合わない。誰のものか分からないご遺骨が出てきた。こうしたことは、意外と起こります。古いお墓ほど記録が残っておらず、納骨の届け出が抜けていることもあるためです。

移すご遺骨の数は改葬許可の申請方法に関わるため、想定と違うと手続きにも影響します。

身元の分からないご遺骨が見つかった場合は、遺品や戸籍から手がかりを探しつつ、最終的には自治体に相談しながら進めることになります。

事前に過去帳や管理者の記録をたどり、「何体、どなたが」を可能な範囲で確かめておくと、当日あわてずにすみます。

石材店・撤去工事のトラブル

工事を頼む石材店選びも、つまずきポイントのひとつです。相場が分からないまま1社だけで決めてしまい、あとで割高だったと気づく。逆に、安さだけで選ぶと、処分方法などで思わぬ問題が生じることもあります。どちらも避けたい事態です。

対策は、複数社から相見積もりを取り、金額だけでなく作業内容や処分方法まで比べること。寺院や霊園に指定業者がいる場合もあるので、まず管理者に確認するのも忘れずに。実績のある石材店を選べば、こうしたトラブルの多くは防げます。

ここまで紹介したのは、墓じまいを進めるなかで起こり得るトラブルです。一方で、判断を先送りし、何もしないままにしておくことにも、別のリスクがあります。

墓じまいをしないとどうなる?無縁墓のリスク

承継者や縁故者が確認できず、管理料も途絶えたお墓は、法令上の公告などを経て、無縁墓として改葬の対象になることがあります。

「気にはなっているけれど、急ぐことでもない」——そう感じて先延ばしにしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。ただ、放っておくと本当にどうなるのか。ここだけは、一度きちんと知っておいてほしいのです。

無縁墓とは何か

承継者や縁故者が確認できず、管理料も途絶えたお墓は、墓地管理者によって無縁墓として改葬手続きの対象になることがあります。

手入れをする人を失ったお墓は、雑草に覆われ、少しずつ荒れていきます。傾いた墓石や生い茂った草は、周囲の墓域の景観を損ね、管理者の負担を増やすことにもなりかねません。

近年、荒れ果てたお墓や積み上げられた墓石の山が、社会問題としてたびたび取り上げられるようになりました。

官報公告から撤去・合祀までの流れ

無縁墓と判断されたお墓が、その後どうなるのか。管理者は、無縁の疑いがあると判断すると、官報への掲載と墓地内の立札による1年間の公告など、法令上の手続きを踏みます。

この公告期間に縁故者からの申し出がなければ、管理者は無縁墓を改葬できるようになります。ただし、期間が過ぎれば自動で撤去されるわけではなく、管理者の判断や費用の事情によっては、荒れたまま残ることもあります。取り出されたご遺骨は、他の無縁仏とともに合祀されるのが一般的です。

何も決めないまま時間が過ぎると、あなたの意思とは関係のないところで、お墓とご遺骨の行く末が決まってしまいます。

残された家族・親族への影響

先送りがつらいのは、そのツケが自分ではなく、次の世代に回りやすいことです。

判断できる人がいるうちに手を打たなければ、いずれ子や孫が、事情も分からないまま同じ問題を抱えることになります。管理料の滞納が続くと、墓地管理者から墓地使用者や承継者、親族へ連絡や精算を求められる場合もあります。

「元気なうちに、自分の手で区切りをつけたい」という思いで墓じまいに動く方が多いのは、こうした未来を避けたいからでしょう。

先延ばしにするほど、判断できる人も、体力も、選べる時間も、少しずつ減っていきます。気になっているのなら、その気持ちが動いた今こそ、いちばん動きやすいタイミングなのかもしれません。

後悔しない墓じまいのための心構え

墓じまいは、あくまで手段です。目的は、大切な方をこの先どう供養していくか、その形を選び直すこと。だからこそ、「いくら安いか」「どう早く済ませるか」だけで進めると、あとで心が置いてけぼりになりがちです。

ご家族のご遺骨を、どこに、どんなかたちで納めたいのか。自分自身は、最期をどう迎えたいのか。その理想から逆算して考えると、選ぶべき道が見えてきます。

そして、忘れないでほしいことがひとつ。お墓の形が変わっても、故人を想う気持ちまで変える必要はない、ということです。

ご先祖を大切に思うからこそ、無縁墓にしたくない、きちんと供養を続けたいと願って、あなたは墓じまいを考えているはず。その気持ちこそが、何よりの供養だと私たちは思います。

一人で抱え込まず、家族と話し、分からないことは専門家や霊園に相談しながら、一歩ずつ。そうやって進めた墓じまいは、きっと納得のいくものになります。

ここまでで墓じまいの全体像は押さえられましたが、実際に動き出すと、個別のケースについて細かな疑問も出てきます。最後に、墓じまいを検討する方からよく寄せられる質問をまとめました。

墓じまいのよくある質問(FAQ)

墓じまいは自分だけで進められますか?

書類の申請などは、自分で進めることもできます。ただ、遺骨の取り出しや墓石の撤去は専門の作業になるため、石材店に依頼するのが一般的です。手続き全体に不安があるなら、供養先の霊園や専門業者に相談しながら進めると安心です。

ご遺骨の一部だけを移すことはできますか?

できます。一部を新しい供養先へ、残りを手元供養に、という形も可能です。ただし分骨には分骨証明書が必要になるなど手続きが変わるので、事前に管理者へ確認しておきましょう。

どのくらいの期間がかかりますか?

順調に進んでおよそ2〜3か月、寺院との相談や書類集めに時間がかかると半年ほどが一つの目安です。改葬許可証の交付にも数日かかるため、余裕をもった計画を立てておくと安心です。

墓じまいをしたら、その後の供養はどうなりますか?

新しい供養先で、これまでどおり手を合わせられます。永代供養付きの樹木葬や永代供養墓を選べば、契約内容に沿って霊園や寺院が供養・管理を続けます。個別安置の期間や合祀の時期は施設によって異なるため、契約前に確認してください。

遺骨がどこにあるか、何体あるか分かりません。どうすれば?

まずは過去帳やお寺の埋葬記録、墓地の管理者への問い合わせから、たどれる範囲で確認しましょう。それでも分からないご遺骨が出てきた場合は、自治体に相談しながら手続きを進めることになります。

自治体の補助金は使えますか?

一部の自治体や公営墓地では、墓石撤去や墓所返還に関する助成制度を設けている場合があります。対象条件は限られるため、現在のお墓がある自治体と墓地管理者へ確認してください。

離檀料は必ず払わないといけませんか?

離檀料について、法律で全国一律の金額や支払い義務が定められているわけではありません。ただし、寺院との合意内容、寺院規則、未納の管理料などが問題になる場合があります。判断に迷うときは、弁護士などへ相談してください。

田舎の遠いお墓でも墓じまいできますか?

できます。何度も現地に通うのが難しい場合は、必要書類を整えたうえでご遺骨を送り、立ち会いなしで納骨まで進められる送骨という方法もあります。遠方だからと、あきらめる必要はありません。

墓じまいに親族の同意書は必要ですか?

改葬許可の申請で、親族全員の同意書が全国一律に必要とされているわけではありません。ただし、申請者と墓地使用者が異なる場合などは、自治体や墓地管理者から承諾書を求められることがあります。親族間のトラブルを避けるためにも、事前に合意を得ておくことが大切です。

使わなくなった墓石は、引っ越しや再利用ができますか?

墓地によっては、いまの墓石を新しい墓地へ移設できることもあります。ただし運搬費や据え付けの加工費がかかり、条件によっては新しく建てるのと大きく変わらない場合も。可能かどうか、費用に見合うかを、石材店に相談してみるとよいでしょう。

仏壇やお位牌はどうすればいいですか?

墓じまいをきっかけに、仏壇やお位牌を整理する方も少なくありません。仏式では、処分する前に閉眼供養を行うことがありますが、必要性や方法は宗派・寺院によって異なります。菩提寺や依頼する僧侶へ相談してみてください。

まとめ

樹木葬(永代供養)なら大阪メモリアルパーク

墓じまいは、手続きの数こそ多いものの、順番に一つずつ進めれば、決して乗り越えられないものではありません。

家族に相談し、供養先を決め、現在の墓地管理者と自治体で必要な書類を整え、墓所を返還して、新しい場所へご遺骨を納める。この流れさえ押さえておけば、途中で迷わずに進められます。

大切なのは、費用や段取りだけでなく、家族との合意をていねいに重ね、現在の墓地管理者や寺院へ早めに相談すること。そして、お墓の形は変わっても、故人を想う気持ちまで変える必要はないということです。

大阪メモリアルパークでは、墓じまい後の改葬先のご相談を随時お受けしています。見学もご相談も無料です。「うちの場合はどうなるのか」を一度整理してみたい方は、どうぞお気軽にご連絡ください。

ご家族に合う供養のかたちを、
現地見学や資料で見比べていただけます。

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この記事を書いた人

霊園やお墓、葬儀に関するお役立ち情報をお届けしています。
大阪メモリアルパークは、建築家・安藤忠雄氏のデザインによる庭園霊園として、永代供養墓・樹木葬・古墳墓・一般墓など、多様なご供養のかたちをご案内しています。

初めてお墓を検討される方にも安心していただけるよう、供養に関する基本情報から、お墓の選び方、葬儀の流れなどをわかりやすく解説するとともに、霊園見学や法要の豆知識、季節の行事など、暮らしに寄り添う情報もご紹介します。

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